明治34年、わが国最初の近代河川トンネルとして竣工した湊川隧道。構築後100年になる今では貴重な土木遺構として保存されています。年に一度、この地下トンネルと通り抜けできるというので行ってきました。
日本初の河川トンネル、湊川隧道。近代土木技術を使った最初のこのトンネルはレンガ壁や御影石を使用、上流側は古典様式、下流側はゴシック様などデザインにも優れた構造となっています。通水から約100年、六甲山系から流れる土砂による氾濫から街を守ってきました。しかし、阪神淡路大震災により倒壊や亀裂が発生するなど大きな被害となりました。この復旧をしつつ、より安全かつ快適で河道断面積の大きいものへと新しいトンネルの建設が始まり平成12年、「新湊川トンネル」の完成とともにその役目を終えました。
現在ではこの非常に歴史的、技術的、意匠的価値の高い遺構は登録有形文化財として指定され、近代化遺産として保存され、整備され活用されています。一般にも公開され、私たちも幻想的で神秘的な歴史遺産に触れることができます。
湊川隧道は概ね月に一度、一般公開されています。コンサートが行われたり年に一度ですがこのトンネルを通り抜けることもできます。スケジュールはこちら。
湊川隧道の一般公開日
http://minatogawa-zuido.com/schedule/
私は先日の令和元年11月10日、土木の日(11月12日)のイベントとして「新湊川ウォーク~湊川隧道通り抜け~」が行われたので隧道内を歩いて来ました。実に、幻想的な光景でした。
入り口でパンフレット等をもらうと中に入れます。特に予約などは要りません。左右の壁面には湊川隧道の歴史や遺構内の説明などが置かれています。
徐々に進むと奥の方に雰囲気のあるエリアが見えてきます。
円形の隧道に敷き詰められているレンガ。その一つ一つに時代を感じます。所々から染み出してくる水が小さな流れとなり構内を照らす明かりを反射させる。引き込まれそうでため息の出る光景です。
毎月第三土曜日にはここでミニコンサートが開かれます。フルートであったりオカリナであったり瓢箪笛だったり。こんな空間で奏でられる音色ってどんな風に聞こえるんでしょうね。
レンガの続くトンネルは距離にして約600m。あまり良いとは言えない足場の中を写真を撮りながら歩いていくとやがて近代的な部分に出て来ます。
そして新湊川トンネルへとつながり、トンネルを抜けます。
普段入ることのできない湊川隧道。明治、昭和、平成の時代に渡って街を守り続けて来た隧道の中では見るもの触れるもの一つひとつに時代と時間を感じることができ、それらがギュッと詰め込まれたままそこにある。そんな風に思える空間でした。足をお運びできる方はいつか訪れてみて、ぜひご自身の肌で感じてみていただけたらと思います。
湊川隧道公式サイト
http://minatogawa-zuido.com
※撮影機材
カメラ;SONY α6400
レンズ;SONY Vario-Tessar T*E16-70mm F4 ZA OSS