奈良県室生に残る呪術行事、虫送りを見に行ってきました。
「虫送り」はご存知でしょうか。
虫送りとは主に西日本に多く残る伝統行事で、春から夏にかけ農作物の害虫の駆逐と豊作を祈願する行事です。以前私は、京都の木津で行われる虫送りを見に行ってきました。その時の記事はこちら。
今年は、奈良県の室生、染田地区で行われる虫送りを身に行ってきました。
毎年6月16日、春日神社十輪院での数珠繰りから始まります。村の人たちが輪になり数珠を回し、祈りを込める行事です。
そして日が暮れ、いよいよ虫送りが始まります。
村の大人も子供も手に手に松明を持ち、村の田んぼを廻ります。
害虫はもともと悪霊の仕業と考えられていました。そこでその悪霊たちを松明の明かりで誘き寄せ、太鼓で囃し立て村の外まで連れて行くことから虫送りは始まったとされてます。
静かな村に太鼓の音が響き、ゆらゆらと揺れる炎が田を畑を照らします。
実に不思議で幻想的。
こうした風習も、地域の人口減少や火災の問題などからどんどん姿を消していってるそうです。
いま松明を持って歩く子供たちも、いつまでここで暮らし、風習を守っていけるのでしょうか。
村外れまで来ました。
手にしていた松明を集め、連れてきた虫たちとともに燃やします。
そしてお札を立てて、手を合わせます。
皆さんの地域ではどうですか?
こうした行事は残っていますでしょうか。
消えゆく日本の風習。
ぜひ今のうちに目に焼き付けておかれてはいかがでしょうか。
こうして虫送りが終わり、村はいつもの静けさを取り戻します。
帰るころ、真っ暗な村には蛍が飛んでいました。
※撮影機材
カメラ;SONY α7Ⅲ
レンズ;SONY Vario-Tessar T*E16-70mm F4 ZA OSS